400thEpisode

酒井家庄内入部
400年への想い

酒井忠順

(旧庄内藩酒井家第19代後嗣)

酒井家庄内入部400年は次の100年の始まりの年

平成29年8月14日 荘内大祭・宵祭にて
平成29年8月15日 荘内大祭・大名行列にて

酒井家が天下統一。私が学生時代に成し遂げたことである。

現実の話ではない。「信長の野望」という歴史シュミレーションゲームでの話。

このゲームでは自分が戦国大名になり、臣下の武将を適材適所に配置して天下統一を目指していく。農地を開拓し収穫を増やし兵糧を貯める。町を発展させて資金を稼ぐ。それらを元手に兵を増やして訓練して、隣国と戦をして領地を勝ち取る。有能な武将を採用し、家臣団を形成する。本当によくできたゲームで私世代(40代)男子はきっと子どもの頃に一度はプレイしたことがあるのではないだろうか?

このゲームには武将キャラクターとして酒井家初代酒井忠次が登場する。大変光栄なことであるが酒井忠次は徳川四天王筆頭と呼ばれた通りの高評価で、ゲーム上でも政治力、智謀、戦闘能力等、バランスの取れた有能な武将であった。このゲームで出会った先祖の能力の高さに子ども心に心がときめいたものである。

「信長の野望」は幾度かバージョンアップされて、私が記憶している最新バージョンでは大名でなく一武将からもプレイができるようになっていたが、私は松平元康(徳川家康)でゲームをスタートし、その後継に酒井忠次を指名し、天下統一の夢は叶ったのである。

さて、ここで少しだけ自己紹介。私は幼稚園、小学校、中学校、高校と庄内で過ごし、大学から東京へ。大学、大学院と進み、そのまま東京で就職。平成18年に庄内に戻ってきた。庄内では酒井家の後継者として周囲の特に大人たちには比較的に認知されていたものの、大学からの東京時代では知る人ぞ知る存在だった。周囲には「信長の野望」プレイヤーがたまにいて、「名前が酒井忠…ということは酒井忠次の関係の人?」とよく聞かれ、「一応、その酒井の末裔だよ。」と答えた。「すごいね。」と最後には大体言われるが… 何がすごいのか?正直、その当時はよく分からなかった。

子どもの頃から祖父、父の背中をみて育ち、一度東京に出てから故郷に戻ってきた。酒井家はこれまで地域の皆さまに大切にされて、愛されて、今日まで続いてきたのだと改めて実感している。

そして、私は知っている。すべての皆さまが酒井家に敬意をもっているかというと、そうではないことを。地域によっては温度差もあることを。酒井家庄内入部400年って何?なぜ祝うの?僕には関係ないよ、という人もいるだろう。

最後に声を大にして言いたいのは、400年続いていること、それ自体がすごいということ。三方御国替、戊辰戦争、それ以前も含めると酒井家存亡の危機は幾度となくあった。それらを全て乗り切って、今もなお庄内に暮らしている。それって奇跡に近いことではないだろうか。私は未来の酒井家19代。これからも庄内で暮らし、仕事をして子育てもする。いずれ20代を受け継ぐだろう子どもに未来を託して、酒井家庄内入部500年を目指していきたい。そのためにも、これから会う人すべてを、笑顔にしたい、酒井家ファンにしたいと本気で思っている。令和4年の酒井家庄内入部400年は次の100年の始まりの年なのである。

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